大会長挨拶

 この度第4回日本腎不全合併症医学会学術集会・総会の会長を務めさせていただくにあたり、ご挨拶を申し上げます。

 ご存じのように本邦における透析患者さんの生命予後は欧米各国より良好であることが知られていります。しかしその長期透析による恩恵もさることながら、長期化ゆえに生じる合併症も大きな問題となっております。しかも糖尿病性腎症、腎硬化症などの合併症の多い疾患での導入維持、また高齢化もそれに大きく影響を及ぼしております。
 腎性貧血、副甲状腺機能亢進症、高リン血症、高血圧、心血管合併症など、優秀な製薬メーカーの努力によって多くの創薬がなされ上市され、この30年に大きく進歩してまいりました。また透析医療本体も本邦の優れた透析機器メーカーの努力できめ細やかなオーダーメイドの透析、透析濾過療法がなされるに至りました。以前であれば不明であった尿毒症物質が確認され、広い範囲の分子量の除去を目指す透析医療も実践されつつあります。
 血管アクセス領域においては、新規デバイスが登場しQOL向上に役位だっているとはいえ、長期化する透析においては消耗するアクセスの問題は、画期的なVAの登場が無い現在、今後もしばらくは多くの医療費を使いながら悩まされるのかもしれません。
 令和3年12月に設立された本学会では初めての外科系医師の主催する学会となります。VA関連の合併症の話題が必然的に多くなるかもしれませんが、より多くの合併症に関してのセッションを諸先輩方、多くの優秀な若手の先生方と共に作りあげてまいりたいと思います。是非ともご協力をお願いいたします。
 令和6年診療報酬改定において、腎代替療法導入期における全身合併症の説明が加算要件として初めて記載されました。国としても透析医療レベルもさることながら、その長期化に伴う全身合併症に対して関心をもって見ている状況なのであろうと思われます。その意味では本会では合併症に特化したきめ細やかな、そしてざっくばらんな討論がなされることを期待いたします。

 冬の開催地としてここ沖縄県那覇を選ばせていただきました。雪の心配もなく(往復の飛行機までは知りません)気候の穏やかな地で皆さんと活発に議論できることを祈念しております。是非ともカジュアルな装いでお越しください。山梨の特産赤ワインと、地元泡盛が皆様のお越しをお待ちしております。




第4回日本腎不全合併症医学会学術集会・総会
大会長 深澤 瑞也
加納岩総合病院 透析アクセスセンター センター長
埼玉医科大学総合医療センター 腎・高血圧内科 客員教授


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