大会長挨拶
この度、「第17回日本透析クリアランスギャップ研究会学術集会」を2023年8月26日(土)・27日(日)の2日間にわたり、名古屋国際会議場におきまして大会長として、また、偕行会安城クリニックの坪井先生に副大会長としてサポートをお願いし強力な体制のもと、第8回モニタリング技術研究会との合同大会として本学術集会を開催させていただくこととなりました。この日本透析クリアランスギャップ研究会は第17回を数えます。この間に血液透析をとりまく環境は大きな変貌を遂げ、透析導入年齢の高齢化、糖尿病腎症患者の増加、長期透析患者、透析困難な患者の増加からより安定性の高い透析技術が求められています。始まりは1995年に市販されたクリットラインモニターによって除水による血液濃縮をモニタリングし、透析低血圧(Intradialytic hypotension :IDH) を予防できる技術として紹介されました。その後、各社も開発が進み今では循環血液量(BV)モニタリングは標準的装備になりつつあります。2005年頃から装置の自動化技術へと進み透析の操作は一段と簡素化を遂げたものの、透析の開始、終了作業の自動化を最終的な目標にすることは患者本位ではないと感じておりました。IDHは比較的多く遭遇する透析合併症であり予後に影響することから、その予防は重要な課題とされ、適正体液量評価、自動除水制御などとともに新しい生体モニタリングを軸にした自動化技術開発が次の課題と捉え各社は模索しています。
「患者の命綱」である良好なバスキュラーアクセスは透析治療の効率、維持、IDH予防技術、安定した在宅透析など最も重要な機能が求められるものであり、まさに透析患者の生活の質の維持には不可欠なことは周知されるところです。そこで、これまでに進化してきたモニタリングの未来とそれを支えるバスキュラーアクセスの維持、管理を一丸となって議論し「安定透析の維持と日本の透析の未来」について本研究会から新たな提言ができればと考えています。このようなことからテーマを「モニタリング技術の前進と未来」といたしました。
透析医療に関わる医師、臨床工学士、看護師と多くの企業さまに参加していただき、より質の高い実りある学術集会にしたいと考えております。つきましては企業各位におかれましてはこの学術集会にご参加・ご協賛いただき、本研究会学術集会の成功のためにお力添えをいただきますよう心よりお願い申し上げます
これまで数年のコロナパンデミックは多くの学習の機会と手法を変えてしまいましたが、以前のような活気ある学術集会となりますよう、是非多くの皆様のご参加をお待ちいたしております。
2022年 10月吉日
第17回日本透析クリアランスギャップ研究会学術集会
大会長 長尾 尋智
医療法人 知邑舎 透析室長・看護部長