大会長挨拶
2023年10月28日から29日に、第17回日本腎臓病薬物療法学会学術集会・総会をウインクあいちで開催させていただきます。会場は名古屋駅から徒歩5分の好立地で、様々な学会やイベントが開催されています。直近の学会は新型コロナウイルス感染症との共存に対応したウイズコロナ時代のWeb形式でしたが、2022年度はポストコロナ時代に入って初めての完全対面形式となり、2023年度も完全対面形式での実施を目指しております。
今回、開催担当の機会を与えて頂きましたこと、日本腎臓病薬物療法学会の関係者の方々に深謝いたします。愛知県内で日本腎臓病薬物療法学会学術集会・総会を開催させていただくのは14年ぶりのこととなります。
愛知県は、薬学博士第1号、日本薬剤師会第2代会長、私立薬学校(現東京薬科大学)初代校長である下山順一郎先生の出身地で、薬剤師には非常にゆかりのある地域です。下山順一郎先生は医薬分業の基礎を確立され、日本薬学界の発展に多大に寄与した先生です。
病院薬剤師と保険薬局薬剤師との連携が重要であることは認識されており、厚生労働省も連携を充実させるための診療報酬を充実させておりますが、現状では積極的に双方向で連携ができている状況とは言えません。また、患者さんとのかかわりは、病院薬剤師は入院患者のみ、保険薬局薬剤師は外来受診時のみ、という状況であり、継続的な介入をしているとは言えない状況です。
腎臓病の患者さんの指導に関して、指導回数・密度が増えるほど、腎機能低下速度が遅くなる、という報告があります。病院薬剤師と保険薬局薬剤師が緊密に連携して腎臓病患者を継続して診ていくことは、患者さんの予後に大きな良い影響を与えると考えられます。
今回、名古屋大会のテーマを「腎臓を守る・良くする薬物療法 ~継続して診る、地域を守る薬剤師の使命~」としました。最近はCKDに適応を持った薬剤が使用できるようになりました。また、近い将来、腎機能を改善する薬剤が出てくる可能性もあり、腎臓病患者さんの薬物療法は今までに経験しないドラマティックな変化が期待できます。また、病院薬剤師と保険薬局薬剤師との連携により、腎臓病患者さんを継続的に診ることで、各地域の患者さんの治療に積極的に介入していくことは薬剤師の使命であると考えます。本大会で得られた知見を各薬剤師が医療に還元していただくことで、薬剤師が担う腎臓病薬物療法に対する考え方がドラスティックに変化するであろうと考えます。
今大会の企画に関しては、上記のような背景を踏まえ、安田知弘先生が実行委員長となり、中部腎と薬剤研究会の役員の方々とプログラムを構成していきます。大会のテーマに相応しい内容を検討し皆様に充実した企画をお届けしたいと思っています。
皆様には、今後お知らせする演題募集に合わせ、是非活発に演題投稿をしていただければ幸甚です。現地開催の臨場感や緊張感はWebでは味わうことはできず、強い印象を残すことができます。大会では積極的にディスカッション等に参加していただき、有意義な時間としていただければ幸いです。
学会の合間には、日本のものづくり産業の集積地としての名古屋、ノーベル賞のゆりかごでもある名古屋、また古くからの伝統と新しい街づくりがミックスされた名古屋を肌で感じていただければ幸いです。タイトルにふさわしい学術集会とさせていただきますので、ぜひとも多くの先生方の参加をお願いいたします。
第17回日本腎臓病薬物療法学会学術集会・総会
大会長 田中 章郎
社会医療法人宏潤会 大同病院 薬剤部